逸失利益の計算方法(ライプニッツ式とホフマン式) 詳細な説明

【逸失利益の現在価額を算定するための方法について】

逸失利益とは本来その人が事故に遭わなければ本来得られていたであろう金銭的利益の事で 具体的には、主に退職するまでに仕事をして得られる給料等の合計金額から本人の生活費等を差し引いた金額をいいます。
さらに、事故で亡くなられた方の遺族に対する賠償金は通常は一時金で支払われますので、将来に渡って受け取るべき遺失利益分を一時金として、 先に受け取る事になります。同じ金額を一時金で受け取る場合より何十年かかって分割で受け取る方が利息がついて多くなりますので、本来の遺失利益相当額と 遺失利益相当額を先に一時金で受け取る金額には差額が生じます。その差額を中間利息と言い、本来の遺失利益相当額から差し引かれます。

逸失利益の現在価額 (一時金で先に受取る場合の金額)遺失利益の計算方法

また中間利息を計算する方法には,利息を単利で計算するホフマン式計算法と,複利で計算するライプニッツ式計算法とがあります。
単利とは例えば利息3%で100万円を20年間預金した場合に、20年後の元利金は
100万円+(100万円×0.03)×20年=160万円になるように、毎年つく利息の3万円には利息が付かない方式です
これに対し複利で、利息3%で100万円を20年間預金した場合に、20年後の元利金は
〔[(100万円 ×1.03)×1.03]×1.03〕×1.03…というように増えた元利金に対し3%の利息がつく方式です。式は100万円×1.0 3の20乗=1,753,506円
当然、複利の方が金額が多くなりますので、中間利息はライプニッツ式計算法の方が多くなります。


さて最近の長期国債の金利は1〜1.5%で推移し、長らく低金利の時代が続いておりますが、上記で説明しました中間利息の金利は5%で計算されます。市場金利にくらべかなり高いようですが、この5%は民事法定利率といわれ 「中間利息の割合は,民事法定利率によらなければならない。」という判例が平成17年にある事によります(最三小判平成17.6.14平成16年(受)1888号損害賠償請求事件)


ホフマン方式によるか,ライプニッツ方式によるかは統一されていませんでしたが近年は年5%の民事法定利率によるライプニッツ方式を採用する方が多いようです。

年収600万円の方が35才で亡くなられた場合の遺失利益をライプニッツ方式で試算した場合の遺族が受取る金額は下表のように約6,637万円になります。
※生活費を30%控除して420万円で計算  ※67才まで32年間勤務するとして計算
※中間利息は民事法定利率である5%で試算

1年後に受取る420万円を今受取る場合の金額は 4,200,000 ÷1.05 の 1乗 (1.050 )= 4,000,000
2年後に受取る420万円を今受取る場合の金額は 4,200,000 ÷1.05 の 2乗 (1.103 )= 3,809,524
3年後に受取る420万円を今受取る場合の金額は 4,200,000 ÷1.05 の 3乗 (1.158 )= 3,628,118
4年後に受取る420万円を今受取る場合の金額は 4,200,000 ÷1.05 の 4乗 (1.216 )= 3,455,350
5年後に受取る420万円を今受取る場合の金額は 4,200,000 ÷1.05 の 5乗 (1.276 )= 3,290,810
6年後に受取る420万円を今受取る場合の金額は 4,200,000 ÷1.05 の 6乗 (1.340 )= 3,134,105
7年後に受取る420万円を今受取る場合の金額は 4,200,000 ÷1.05 の 7乗 (1.407 )= 2,984,862
8年後に受取る420万円を今受取る場合の金額は 4,200,000 ÷1.05 の 8乗 (1.477 )= 2,842,725
中略
25年後に受取る420万円を今受取る場合の金額は 4,200,000 ÷1.05 の 25乗 (3.386 )= 1,240,272
26年後に受取る420万円を今受取る場合の金額は 4,200,000 ÷1.05 の 26乗 (3.556 )= 1,181,211
27年後に受取る420万円を今受取る場合の金額は 4,200,000 ÷1.05 の 27乗 (3.733 )= 1,124,963
28年後に受取る420万円を今受取る場合の金額は 4,200,000 ÷1.05 の 28乗 (3.920 )= 1,071,393
29年後に受取る420万円を今受取る場合の金額は 4,200,000 ÷1.05 の 29乗 (4.116 )= 1,020,375
30年後に受取る420万円を今受取る場合の金額は 4,200,000 ÷1.05 の 30乗 (4.322 )= 971,785
31年後に受取る420万円を今受取る場合の金額は 4,200,000 ÷1.05 の 31乗 (4.538 )= 925,510
32年後に受取る420万円を今受取る場合の金額は 4,200,000 ÷1.05 の 32乗 (4.765 )= 881,438
     
合計 66,371,242
しかし,上記のように計算が煩雑になるので,年数に応じた係数をあらかじめ算出しておき,この係数を乗じて中間利息控除後の金額を簡単に算出するようにしています。この係数 をホフマン式計算法ではホフマン係数,ライプニッツ式計算法ではライプニッツ係数と呼んでいます。